ArkAir N.ハリウッド 尾花大輔 INTERVIEW

ArkAir N.ハリウッド 尾花大輔 INTERVIEW

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圧倒的な技術力とクオリティによって、世界中の軍隊や特殊部隊へプロダクトを提供しているアークティス社を母体にもつイギリスのブランド、アークエアー。

今回は20SSシーズンにコラボレーションが実現したN.ハリウッドのデザイナーである尾花大輔氏へのインタビューを通して、コラボレーションの裏側とそこから見えてくるアークエアーの魅力に迫る。

ArkAir インタビュー

profile 尾花大輔

古着屋でのバイイングなどを経験したのち、2001年に自信が手がけるブランドN.HOOLYWOODを立ち上げる。以来、20年に渡って日本のファッションシーンを盛り上げており、最近では東京オリンピックの聖火ランナーのユニフォームなどを手がけたことも話題に

ミリタリー然とした魅力とファッションとの親和性

本格的なスペックやシルエットをタウンユース向けにアレンジして展開されるアークエアーのプロダクトの数々は、ミリタリーの背景に裏打ちされた機能性と、メイド イン イングランドのクオリティ、ファッションとしての要素が程よく混ざり合い、ミリタリー好きのみならず、幅広い層から支持を集める。

コム デ ギャルソン・ジュンヤ ワタナベ・マン、バブアーやパレススケートボードとのコラボレーションなどが話題を呼んだようにファッションシーンとの結びつきも年々強めているが、モードな印象のブランドからストリートシーンで躍動する気鋭のブランドまで、生み出すアイテムが“ホンモノ”であるからこそ、勝ち取れる信頼があるのだろう。

20SSシーズンのコラボが好評を博した、ミリタリーへの深い造詣でも知られるN.ハリウッドのデザイナー尾花大輔氏へのインタビューから改めてアークエアーの本質が垣間見える。

「我々はテストプロダクトエクスチェンジサービスというラインナップをやっているのですが、その名前を掲げている以上は、軍に採用されるようなプロダクトを本気で目指しているような部分はあるので、実際に各国の軍に正規採用されているアークティス社の民間向けともいえるアークエアーとの取り組みは面白いのではと思いました。残念ながら僕は米軍以外にあまり詳しくなかったのですが、やはりヨーロッパのミリタリーアイテムはディテールや背景が米軍のものと異なるので、そういう部分も面白くて。またちょうどその時期に英国軍のアイテムを買ったり、英国に行ったりしていたのでなおさら取り組む理由が見えてきたんです。」

ミリタリーというジャンルへの深い知識と、英国をテーマにしたコレクションを作成していたという思わぬタイミングも相まって実現したコラボレーションは、アークエアーの背景が一層色濃いクリエイションへと導いた。

「特に男の人にいえることかもしれませんが、単なるミリタリー風パンツではなく、ホンモノなんだけども着崩した時にかっこよく見えるのが良いという価値観があるじゃないですか。このパンツだと、米軍のものと比べるとまだディテールやシルエットは広く知られていない部分もあるので、あまりその辺をいじらずに大事にしながらデザインさせてもらいました。アークエアーはおそらくミリタリーウエアのかっこよさや利便性をタウンユースにしたいという発想から生まれているのでしょうから、そういう意味では自分のルーツとも共鳴する部分が多くあるのでしょう。」

コラボに際しては、原型のシルエットを大切にしつつ、ミリタリーに適したディテールを削っていく作業に注力したという尾花氏。自身が車に乗る機会が多いということもあり、座った際に物を入れやすいポケットなど、生活の中で必要な機能を残しつつ、素材感など細部を変えて、タウンユースに適したパンツへとアレンジした。

コラボの元ネタとなった、アークティス社から提供されたサンプルは、英国軍の特殊部隊に提供されるような本格派。本格的なミリタリーの背景からファッションへとアプローチするアークエアーと、ファッションを主戦場として、ミリタリーの要素に敬意を払いながら取り入れていく尾花氏の共演は、必然ともいえる流れだったのかもしれない。

尾花氏に提供されたサンプル()と、実際の商品()。全体のシルエットや、ウエスト部分のディテールなど元ネタをリスペクトし踏襲した上で、膝当てやまた下部分の伸縮素材やいくつかのポケットといった、日々の生活では過剰になってしまうような細部を程よく削ぎ落としていることがわかる。

さらっとディテールだけを拾った“ミリタリー風”ではなく、本格的なスペックやクオリティをどうタウンユースに落とし込んでいくかという逆説的なアプローチは、クリエイションに説得力と独自性を持たせ、アークエアーのアイデンティティを確立させている。確固たる背景とブランドとしての立ち位置を武器に、この先新たな歴史を作りあげていくことだろう。

2020AWコレクション(新作)にも袖を通す尾花氏。

text:Shuhei Kawada
photo:Yoko Tagawa