【ジェームスグロース】定番のススメ -アーヴィン-

無骨なイメージの強いライダースジャケットですが、今回ご紹介するアイテムは、James Groseが展開する中でも稀有な存在である、ミリタリーウェア由来のムートンジャケットです。

James Grose(ジェームスグロース)は、1876年創業の英国のレザーウェアブランドです。
2016年のブランド復活以降、皮革職人としての熟練した技術と情熱をもった創業者の信念を受け継ぎながら、ロンドン市内唯一と言われるライダース専門ファクトリーにて、一つずつハンドメイドで製造しています。
デザインとして完成されたアーカイブをベースに時代を超えて愛されるレザーウェアを展開しています。

英国王立空軍のフライトジャケットをモチーフにアーヴィンジャケット。その歴史は約90年前に遡ります。

1931年頃から生産されたとされる、アーヴィンジャケット。その名前の由来となったのは、飛行士、「レスリー・ルロイ・アーヴィン」という実在した人物です。彼はパラシュート「リップコード」システムの発明者であり、1919 年に飛行機から計画的に自由落下ジャンプを行った最初の人物でした。

アーヴィンジャケットが誕生する以前、当時のパイロットは、非常に過酷な寒さの中で操縦を強いられていました。 航空技術の進歩に対して兵士の装備開発は伴っておらず、当時の飛行機は気密性が乏しいものでした。特に飛行中のコックピット内の温度は-60℃と非常に低かったと言われています。また、パイロットや乗員は窮屈な機内で、動きがすでに制限されており、動きやすい服装が求められました。こうした環境下で不可欠になったのが、高い防寒性と動きやすさを備えたフライトジャケットでした。

当時レザーは重いと考えられていましたが、シープスキン(羊革)は非常に軽量な素材で、裏地のウールボアは優れた断熱性を誇りました。 高い防寒力と羊革がもたらす軽量性を兼ね備えた、画期的な飛行服であったアーヴィンジャケットは、後にナイロン製の飛行服が登場するまでの間、多くのパイロットに愛された一着です。

James Groseでは、アーヴィンジャケットに敬意を込めて、表側に柔らかなシープレザーを、裏地になめらかな天然羊毛ムートンを贅沢に使用しています。 ムートンは羊毛の密集率が高く、熱伝導率が非常に低く、外気の気温に影響されることがほとんどない素材です。 肌ざわりのよいムートンに包まれることで、厳しい真冬の寒さでも快適に着用いただけます。