
Integrity & Honesty :
その重要性
イギリス発のブランド、Wax London(ワックスロンドン)。その根底にある価値観は、ラテン語「インテグリタス」に由来する“誠実さ”です。洋服をつくる姿勢に正直さを貫き、人々や地球への思いやりを忘れないこと。そんな哲学は、着る人の日常にまで自然に息づいています。今回はファッション業界で活躍する4名に、ワックスロンドンの魅力、そして彼らが考える“誠実さ”についてお話をいただきました。
We asked.
Q.1 ワックスロンドンの魅力を教えてください
Q.2 あなたにとっての誠実さとは何ですか?
「byeA.」ディレクター
石黒晴輝
「嘘をつかない。これに限ります。」
Wax Londonのチェック柄の素朴な可愛らしさを語る石黒さん。オーバーシャツは年齢を問わず自然体で着こなせるアイテムだといいます。彼にとって誠実さとは、飾らずに真実を伝えること。ブランドもまた意思を持ち、正直であるべきだと考えています。

Q1.
ワックスロンドンのオーバーシャツは、ドレスシャツとしてスーツの下に着るようなものでなく、一枚できるものに近いと思っていて。チェックとはいえ、ブラックウォッチなどのクラシックなチェックよりも素朴さがあります。おじさんくさいチェックというよりは、織地の凹凸や柄の色合わせから生み出される、可愛らしさだと思います。だからおじさんが着てもおじさんにならないし、若い人が着ても若さをそのままに個性を演出できる、そんなアイテムです。イギリスのカントリーらしさもあるけど今っぽさのバランスがいいですよね。いい意味で背伸びせずに着用できるブランドだと思います。
Q2.
嘘は嫌いです。たとえ、隠し事はしたとしていても聞かれたら正直に答えます(笑)特にブランドってコンセプトありきだと思っていて。自分の伝えたいことからブランドが始まり、それを世の中に伝えていくのにどのように表現していくかってことがブランドの洋服作りだと思っています。誠実なブランドの服には意思がある。その意思を伝えられるようにこれからも洋服に携わっていきたいです。
「J.PRESS&SONS」ディレクター
黒野智也
「ファッションに関わるすべてに対して、自分は誠実に向き合いたい。」
生地づくりにも携わる黒野さんは、Wax Londonのユニークな素材使いに惹かれます。アメカジに新鮮さを与えるフォルムは、他にはない魅力だと評価。誠実さについては「自分だけでは成立しないもの」と語り、相手に嘘をつかず、互いの幸福度を高める姿勢を大切にしています。

Q1.
「今までにありそうでなかった、あたたかみのあるいいブランドだなと思います。」イギリスのブランドらしいシャツで、縦長い感じのフォルムに出ている。オーバーサイズムードですが、ちょうどいいというか。タイミングに関しても新鮮に映るフォルムですよね。そしてやっぱり素材が面白い。自分もモノづくりに携わる立場として、生地を作ることもありますが、この手の太番手の糸をこれだけ色を使っている生地は探してもそうそうないです。他にもチェックだけでない柄もありますよね。色合わせもセンスがいいなと感じます。
今日は古着のカーハートのダブルニ―に合わせてアメカジ「らしい」スタイリングをしています。普通にチェックシャツを合わせると普通のアメカジになってしまいますが、ワックスロンドンのオーバーシャツだと、時代のムードがあるスタイリングになります。
Q2.
「ファッションに関わるすべてに対して、自分は誠実に向き合いたい。」例えば、お客様から「試着した様子でどう思いますか?」っていわれたとして、「似合いますよ」っていうのは簡単なんですけど、似合っていないときにちゃんと似合っていないことを伝えることとか。お客様にさらにいいアドバイスをしたりとか。コラボレーションのお仕事をするときもそうで、自分たちの利益のために仕事をするのではなく、一緒に取り組んだ相手にもメリットがあるという状態がよいじゃないですか。ファッションにおいて違和感があったり、中途半端なことをやらないようにしています。自分の心に嘘をつきたくないというか。だからファッションでお客様の幸福度を高められたらなと思います。誠実ってただ、自分だけだと成立しない言葉で、他者があってこそ誠実さがあるのかなって。
スタイリスト
高橋正典
「長く着て経年変化を楽しめるような服が好きです。」
スタイリストとしての視点から、Wax Londonのアイテムは「日常で着られるけれど、ありふれた服ではない」と話す高橋さん。長く愛用できる洋服こそ誠実だと捉え、経年変化を楽しむことで服との関係を深めていきます。

Q1.
「普通っぽいけど普通じゃない。でも普通に着られる。」一言でいうと、アメカジのヨーロッパ版という感じですかね。アメカジになりすぎないというか。チェックシャツでもいわゆるネルシャツとかではなく、洗練されている印象です。土臭くなりすぎない雰囲気があって、他のブランドにないオリジナリティなのかなって思います。意外とオーバーシャツ以外のデニムやパンツなんかもシルエットが綺麗でいいですよね。リアルクローズでベーシックだけどベーシックでない。だけどデイリーに着られるのが魅力的だと思います。
Q2.
ワンシーズン着て着なくなるっていうよりは、長い間着たい服を買うようにしています。スタイリストではありますが、めちゃめちゃ自分の服を買うわけでもなく、1着1着に対して向き合って服を選びたいんです。ベーシックなデニムも買えば、プラダのレザーシューズを買うみたいなことですかね。決してトレンドだから、安いからって沢山買って、すぐに捨てるみたいなことはしたくない。そういう意味では、ワックスロンドンのアイテムも長く着てちょっと古着っぽくなってもかっこよく着れる、そんな洋服ですよね。
「GMT」プレス
狩谷賢介
「デザインだけで服を選ぶわけじゃない。服には人が介在するんです。」
シンプルな中に遊び心を感じるデザインに惹かれ、Wax Londonを愛用する狩谷さん。彼にとって誠実さとは、人との対話における真摯な姿勢。目を見て話すこと、正しいサイズを薦めること――服選びにおいても正直なコミュニケーションが、人と人、人と服の気持ちよい関係を築くと考えています。

Q1.
「ありそうで他にないデザインだと思います。」以前J.PRESS&SONSで買い物をしていた時に、ブランドの存在を知りました。その時は半袖シャツを買わせていただきました。初めて見たときは難しいデザインではなく、わりと着やすい印象でした。率直にデザインがシンプルな中に遊び心があるというのがいいなと思いました。柄が気に入ったのはもちろん、遠目からみるとオーセンティックだし、ベーシックなサイジングなんですけど、スタイリングに落とし込むとギミックが利いているアイテムが多いというか。そこが自分の好みでした。尖ったアイテムではないにしろ、周りの人についついそれどこの?って聞かれるような服ですよね。余計なディテールをプラスしていない、素朴な雰囲気もよいです。
Q2.
日頃からコミュニケーションとして、相手の目を見て話すということを大事にしています。目を見ていると、相手の空気感がわかるというか。ちゃんと聞いてくれているなと思うことはもちろん、目線をそらす仕草とかって顕著に現れるから、逆にあんまり話をきいていない様子も分かる。そういう意味でも目を見て話す、聞くっていうことは心がけています。
それは服に対しても通ずる部分があるかなと。服を売る立場でも客として服を買う立場だとしても、気持ちよく帰ってもらいたい。それは服だとしても靴だとしても。本当に自分に合ったサイズかどうかは慎重に確認するようにしているし、服を選ぶときに間違った買い物にはならないようにしたい。目を見て話して、聞くっていう一定のコミュニケ―ションが取れていれば、何も買わなかったとしても変な気まずい空気にはならないし、洋服を通じた誠実なコミュニケーションが正しい買い物へと導いてくれると思っています。
Be Honest.
「嘘をつかない」「お客様に誠実である」「長く着続けたい」「服を通じて正直に向き合う」――。出演者たちが語った言葉には、形は違えど共通して「人や物への真摯さ」がありました。Wax Londonが大切にする“Integrity”は、単なるブランドスローガンではなく、着る人の生き方や選択に重なっていきます。今日袖を通すその一着が、明日をより誠実に、そして心地よいものへと導いてくれます。
Photographer: Fu Kaneko
Text&Edit: Shota Seto(Greenwich)
Wax London
AW25 Theme:
Rewind and Reclaim
AW25コレクション「リワインド・アンド・リクレーム」は、70年代のロンドン・アンダーグラウンド音楽シーンに着想を得ています。ワックスの真髄である文化的インスピレーション、豊かな色彩、そして際立つプリントが見事に融合したコレクションです。
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